どうも、からなしです。
兼ねてよりスロウレンズの魅力についてお伝えしてきましたが、今回は私が愛用している富士フイルムのカメラでライカ銘のレンズを使う方法についてまとめたいと思います。(半分くらい備忘録的なものにはなりますが)
富士フィルム Xマウントについて
これは私が使っているFujifilmのX-Pro3です。レンズを装着する部分を”マウント部”と呼びますが、「富士フイルム X マウント」という規格を採用しています。簡単にいうと、富士フイルム専用のレンズしかつけられないという意味です。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 富士フイルム Xマウント |
登場時期 | 2012年(FUJIFILM X-Pro1と同時発表) |
対応センサーサイズ | APS-Cサイズ |
フランジバック | 17.7mm |
マウント径 | 約44mm(内径) |
マウント形式 | バヨネット式(3つ爪) |
富士フイルムのレンズであれば問題なくカメラにレンズを装着できますが、他規格のレンズをそのまま装着しようとするとマウント部を傷つけたり、最悪イメージセンサーを破壊しかねません。そもそも装着できないので撮影すらできません。
それでは、スロウレンズが数多くあるライカレンズは装着できないじゃないか!とお思いの方。この問題に関しては実は”マウントアダプタ”という道具を使用することで解決することができます。
こちらがマウントアダプタ
じゃあ、どういうマウントアダプタ選びをして使用すればいいの?という疑問が当然出てくると思います。そのアダプタ選びを徹底ガイドできればと思います。アダプタ選びの前置きとして、まずライカレンズについてご紹介したいと思います。
ライカのレンズは2種類ある!
はじめにライカレンズは2種類あります。
左がライカMレンズ、右がライカL39レンズです。
大きな違いとして、Mレンズはワンタッチで装着できるバヨネット式ですが、L39レンズはスクリュー式であるため、ねじ込みながら装着するタイプのレンズになるんですね。


とりあえず、2種類あるんだってことを覚えてください。
じゃあ、なんで2種類あるんだろう・・・って経緯が以下になります。
ライカL39マウントからMマウントへの変更までの経緯
ライカは1930年代からL39マウント(ライカスレッドマウント)を採用していましたが、1950年代に入り写真文化の変化やユーザーのニーズに応える形でMマウントへ移行しました。
- 1931年 - L39マウント(スクリューマウント)採用。レンジファインダー機ライカII型で登場。
- 1940年代 - 報道写真やスナップ撮影が盛んになる。レンズ交換やピント合わせの迅速化が求められるようになる。
- 1950年代初頭 - 他社からも高性能・高速なカメラが登場し始める。
- 1954年 - ライカM3と共にMマウント登場。バヨネット式マウント、大型ブライトフレームファインダー、距離計一体化により大幅な使い勝手向上を実現。
◆ライカL39マウントとMマウントの比較表
項目 | L39マウント (ライカスレッドマウント) |
Mマウント |
---|---|---|
方式 | ネジ込み式(39mm径、1/26インチピッチ) | バヨネット式(3つ爪) |
登場時期 | 1931年(ライカII型) | 1954年(ライカM3) |
フランジバック | 28.8mm | 27.8mm |
主な特徴 | コンパクト、オールドレンズが豊富、沈胴レンズあり | 高速レンズ交換、大型ファインダー、距離計一体型 |
上記で詳細な比較をしてみました。
当然、両者では富士フイルムのカメラに装着するまでの変換方法が異なるということになります。ざっくりとですが、変換までの流れを図示してみました。
ポイントは以下になります。
・L39→Xマウントへの変換は2段になる
・M→Xマウントへは1段で可能
L39レンズを富士フイルムで使うには
① L39→Mマウントへの変換
まず、L39マウントをMマウントに変換が必要となります。
AmazonなどでM/L変換リングを探すと、35/135mm用、50/75mm用、28/90mm用の3種類があります。
例えば、summaron35mm f3.5の変換をしたい場合は35/135mm用を使用しなければなりませんが、間違えた場合どうなるのでしょう。
結論をいうと、別のものを使用しても問題なく使えます。
※ 間違ったリングを使って影響が出るのは、”ライカM型ボディ”です。
実はリングによってレンズ検出ピン(メカニカルピン)の形状が異なります。これによってファインダーのブライトフレームが間違ったものになったり、Exif情報が間違って記録されることになります。ただ撮影自体は可能ですし、レンズやボディが壊れることはありません。
今回は富士フイルムのボディで使うので、そこら辺は全く気にしなくて構いませんが、万が一ライカを使っている友達にそのまま借す場合があれば、おかしなことになる点は留意してください。
少し話が脱線しましたが、マウントの装着前後でこのように変わります。
② M→Xマウントへの変換
ここまで来れば、もう少しです。次はMからXマウントへの変換です。
M→X変換アダプタですが、2種類あります。
a. ヘリコイドなしタイプ ・・・6000円程度、こだわりがなければこれでOK!
b. ヘリコイドありタイプ ・・・20000円程度、アダプタ自体に可動式のヘリコイド(繰り出し機構)が内臓されており、被写体に寄って撮影が可能になります。簡単に言えば「簡易マクロ機能」を持つということです。
Voigtlander フォクトレンダー VM-X Close Focus Adapter II VM/ZM用 富士フイルム Xマウント装着アダプタ
L39レンズが使われていた1930〜60年代はピント合わせの方式や用途として寄って撮影する需要がなかったんですね。なので、設計上70cm〜100cmくらいを最短撮影距離にしているレンズが多いです。
初めてL39レンズを使ったときは「ここまで寄れないものなのか!」と驚いたことを覚えていますが、ヘリコイドアダプタを使うことで「寄れない問題」が大きく改善します。
イメージ感ですが、100cm→40cmくらいまで寄れるようになります。
M→X変換マウント装着前後の写真がこうなります。
③カメラに装着
ここまでマウントアダプタを噛ませてあげると、ボディに装着して撮影が可能になります。お疲れ様でした。
Mレンズを富士フイルムで使うには
装着の流れは先ほどと同じです。①がなくなって②、③をするだけです。
①M→Xマウントへの変換
M→X変換マウント装着前後の写真がこうなります。
②カメラに装着
終わりに
L39レンズはライカに倣って、ニコンやキヤノン、その他ロシアやドイツなどの国がライカの模倣品を作っていました。そういった模倣レンズはライカと比べると手に取りやすい価格で入手することができます。この時代のレンズはシルバーリムの金属筐体なので、新鮮さもありますし、収差の個性が分かれてとても楽しいです。
加えて、富士フイルムのカメラはフイルムシュミレーションという撮影モードでフイルムチックに色味が変えられるので、収差との相性が良く、昔っぽい写真が撮影できます。
今回はかなりボリュームのある記事になってしまいましたが、ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。ぜひ、ライカレンズを使ってみてください。