
機材が壊れる時には、必ず物理的な理由と前兆がある
わかってはいるんです。でも、実際にやらかすと心へのダメージはでかい。
今回は、愛用している超望遠レンズ「XF100-400mm」をうっかり落下させてしまった件について。
六本木のフジフイルムに泣きつき、2日後にサポートから届いた──絶望と納得が同居する見積もりメールがこちら。

ご指摘内容:
落下により、使用しているとズームが135mmから100mmに戻す時の引っかかりと、中でカタッという音がする。レンズを上に向けたり下に向ける時にカタッと音がする。修理内容およびご連絡事項:
ご指摘の症状を確認いたしましたので該当部を修理いたします。
ご指摘の他、自重落下する症状を確認いたしましたので該当部を修理いたします。お見積金額: 43,230円(消費税含む)
ただ「壊れた、修理代高かった、ショック」で終わらせるのは悔しい。
この43,230円という痛手を、物理的な現象として少し冷静に「考察」してみることにしました。
いつもの機材レビューとは少し趣向を変えて、思考整理用AI(外部OS)との壁打ちログをそのまま残しておきます。
落下考察ログ
XF100-400を膝の高さ(約50cm)から室内の床に落としちゃった……。一応ハクバのクッションケースには入ってたんだけどね。
サポートからのメールにもある通り、元々レンズが下を向くと勝手に伸びる「自重落下」の症状はあったんだよね。でも今回の落下以降、ズームする時に明確に引っかかるし、カタカタ音が鳴るようになっちゃって。
修理見積もりは43,230円。正直痛い出費だけど、なんでケースに入れてたのにここまで壊れたのか、納得したい。
サポートからのメールにもある通り、元々レンズが下を向くと勝手に伸びる「自重落下」の症状はあったんだよね。でも今回の落下以降、ズームする時に明確に引っかかるし、カタカタ音が鳴るようになっちゃって。
修理見積もりは43,230円。正直痛い出費だけど、なんでケースに入れてたのにここまで壊れたのか、納得したい。
それはショックでしたね……。では、純粋な物理現象として紐解いてみましょう。
まず、落下時の衝撃エネルギーを計算します。レンズの質量は約1.4kg。高さ0.5mからの落下エネルギーは「E = mgh」で算出できます。
1.4kg × 9.8m/s² × 0.5m ≒ 6.86 J
つまり、約7ジュールのエネルギーが加わったことになります。
6.86Jは少年野球の硬球(約145g)を、2階の窓(約4.8m)からコンクリートに落とした衝撃
まず、落下時の衝撃エネルギーを計算します。レンズの質量は約1.4kg。高さ0.5mからの落下エネルギーは「E = mgh」で算出できます。
1.4kg × 9.8m/s² × 0.5m ≒ 6.86 J
つまり、約7ジュールのエネルギーが加わったことになります。

……でも、ハクバの分厚いクッションケースに入ってたんだよ? それでも内部がイカれるものなの?
そこが落とし穴なんです。
クッションケースは「床にぶつかる瞬間の硬い衝撃(外装へのダメージ)」は見事に吸収してくれました。でも、ケースの中で重いレンズ群が動こうとする「慣性力」そのものは消せません。
ここで、元々あった「自重落下」という症状が牙を剥きます。
クッションケースは「床にぶつかる瞬間の硬い衝撃(外装へのダメージ)」は見事に吸収してくれました。でも、ケースの中で重いレンズ群が動こうとする「慣性力」そのものは消せません。
ここで、元々あった「自重落下」という症状が牙を剥きます。
自重落下してるってことは、内部のバネとか固定してる部品が、すでにヘタっていたってこと?
その通りです。構造上の「遊び」が限界まで広がっていた状態ですね。
内部を支える力が弱っていたため、クッション越しに伝わった鈍い揺れだけでも、カムやピンが本来の位置からズレてしまったんです。
「軽微な経年劣化が、外力によって致命傷として表面化した」──機械の典型的なパターンですね。
内部を支える力が弱っていたため、クッション越しに伝わった鈍い揺れだけでも、カムやピンが本来の位置からズレてしまったんです。

「軽微な経年劣化が、外力によって致命傷として表面化した」──機械の典型的なパターンですね。
なるほど。クッションのおかげで外傷──レンズ割れとか──は防げたけど、すでに弱ってた内部構造にはそれがトドメになっちゃったと。
それにしても43,230円か……。今のこの機材の価値から考えて、修理に出すのって正解なのかな?
それにしても43,230円か……。今のこの機材の価値から考えて、修理に出すのって正解なのかな?
同程度の中古を買い直せば11万円程度かかりますし、なにより「他人がどう使ったかわからない未知の劣化リスク」を抱えることになります。
一方、この4万円強で修理すれば、ズレの修正だけでなく、自重落下の原因だった内部部品のオーバーホールも確実に実行されます。2年半一緒に使い込んだ個体を新品同様にリセットして延命できると考えれば、かなり前向きで合理的な投資だと思いますよ。
一方、この4万円強で修理すれば、ズレの修正だけでなく、自重落下の原因だった内部部品のオーバーホールも確実に実行されます。2年半一緒に使い込んだ個体を新品同様にリセットして延命できると考えれば、かなり前向きで合理的な投資だと思いますよ。
確かに。X-Pro3との組み合わせでずっと撮ってきた思い入れもあるし、ここで手放すのはなんか違うね。
ちゃんと直して、限界まで使い倒すよ。
ちゃんと直して、限界まで使い倒すよ。
考察を終えて
道具は使えば摩耗するし、落とせば壊れます。
ただ、「クッションケースに入れていたのになぜ壊れたのか」というモヤモヤが、物理的なエネルギーの変換として理解できたことで、ちょっとだけ機材への解像度が上がった気がします。
修理から戻ってきたら、また一緒にいろんな景色を撮りに行こうと思います。




